はじめに|在宅避難をするなら「災害の種類」を知るのが第一歩
災害とひとことで言っても、種類によって被害の内容や備えるポイントは大きく異なります。
この記事では、日常生活の中で直面する自然災害とその被害を整理し、「自分の地域ではどんな災害が起こりうるのか」を具体的に知ることから始めていきます。
在宅避難を前提とした備えの第一歩として、参考になればう嬉しいです。

在宅避難=避難所に行かず自宅で生活を続ける避難方法だよ。
高層マンションは在宅避難が基本だから、そのつもりで備えておくと安心だね!
在宅避難に影響する災害とは?種類ごとの被害と備えのヒント
地震|マンション暮らしでも避けられないリアルな危険
日本は世界でも有数の地震国。どこに住んでいても、大きな揺れに見舞われる可能性があります。
私にとっても地震は忘れられない体験のひとつ。幼い頃に経験した阪神・淡路大震災では、遠く離れた場所にいても大きな揺れで目が覚め、上から物が落ちてくるかもしれないという恐怖をはっきり覚えています。
東日本大震災のとき、我が家に避難してきた友人の自宅(高層階のマンション)では、長く続く揺れの影響で水槽の水がこぼれたそうです。
その日、関東圏の自宅マンションでは停電し、我が家に避難してもらった友人もいます。
地震の被害例:
- 家具の転倒
- 電気・水道・ガスなどのライフラインの停止
- 地盤の液状化現象
- 津波(沿岸部)
- 建物の損壊や倒壊 など
特にマンション高層階では、揺れが長く続く「長周期地震動」の影響で、家具の転倒やガラスの飛散など、思わぬ二次被害が起きることも。ライフラインが止まったときに、「階段で水を運ぶ」「エレベーターが使えない」など、日常生活そのものがハードモードになる可能性もあります。



地震は“発生してから備える”では間に合わないよ。
家族を守るために、今できる備えを少しずつ始めておこう!
👉 【関連記事】マンション防災|家具の転倒防止グッズまとめ|実体験から選ぶおすすめ対策
津波|海のそばでなくても、他人事でない災害
津波は、地震や海底での地殻変動によって海の水が押し上げられ、急激に沿岸に押し寄せる自然災害のひとつです。沿岸部に住んでいる人だけでなく、内陸に住んでいる人にも影響が出る場合があります。
津波被害の例:
- 建物や車、人が波にのまれて流される
- 海水が入りこむことで、家や土地に塩害(塩分によるダメージ)が残る
- 広い範囲が浸水し、電気・水道などのライフラインが止まる
マンションの場合、「高層階なら大丈夫」と思われがちですが、停電や断水になれば、日常生活が一気に不便になります。エレベーターが止まり、水が使えなくなれば、ふだんは便利な高層階も「避難所より過酷」になることも。
💡 気象庁の公式情報もあわせてチェック:気象庁 HP



高層マンションには絶対津波は来ないと思ったけど、津波の影響はありうるんだね。
台風の備え、大丈夫?「マンションだから安心」は思い込みかも
雨風とともに大きな被害をもたらす台風。毎年、必ずやってくるような存在ですが、「昨年までは大丈夫だった」と過ごしてしまいがちではないでしょうか。でも、関東でも数年に一度は、大きな被害が出ているのが現実です。
実際、我が家も地下からの浸水被害に加え、停電と断水も重なり、しばらくの間『自宅避難生活』を送ることになりました。
テレビで見る台風の被害というと、屋根が飛んだ戸建てや、倒れた電柱ばかりが映っていて、マンションには関係ないと思われがちです。でも、電気が止まればエレベーターもポンプも止まり、水もトイレも使えなくなるのが高層マンション。
都市部に住む私たちこそ、「一斉に止まったとき」の不自由さを想像して備える必要があると感じています。
台風被害の例:
- 家屋損壊、窓の破損
- 浸水・洪水・高潮
- 長時間の停電・断水



夜に台風が通過して、朝起きたら快晴ってことがよくあったなあ。
学校休めると思って喜んでた記憶があるよ〜。



毎年、必ずと言ってもいいくらい台風には遭遇するよね。
被害がないのがラッキーだったと思って、ちゃんと備えるべし!
豪雨・洪水|「風がないのに災害?」と思ったら要注意
ここ数年で増えている豪雨災害。
「線状降水帯」という言葉、ニュースで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。短時間に信じられないほどの雨が降り、1日で“ひと月分の雨”を超えることもあるんです。
風の強い台風と違って、ただの雨と侮っていると、あっという間に川があふれ、道路や地下が水にのまれてしまう危険があります。
被害の例:
- 河川の氾濫、堤防の決壊
- 土砂崩れや土石流
- 地下への浸水、マンホール逆流



ハザードマップって、意外と見たことない人も多いよね。自宅マンションでも、浸水想定区域に入ってるかもしれないからチェックしてみて!
土砂災害|地面がゆるんで突然やってくる災害
大雨が続くと、地中に水がしみ込んで、ある日突然、地面が崩れることがあります。家の裏が崖だったり、近くに山がある場合は特に注意が必要です。
子どもの頃、自宅の団地で土砂崩れの被害にあったことがあります。
あと数メートルずれていたら、わが家が巻き込まれていたかもしれない──そんな記憶が、今もはっきり残っています。幸いにも規模が小さかったので、山からの土砂が道路を塞いだ程度でした。実家の土砂崩れ被害は、家屋への被害はなかった事例です。
「崖のすぐそばじゃなかったのに」と思っていた場所でも、わずかな違いで被害の大きさが変わることを実感しました。
被害の例:
- 家屋の倒壊・埋没
- 河川が土砂でせき止められ、あふれ出す
- 通行止めや孤立で自宅避難となる



土砂災害って“崖の近くだけ”の話じゃないよ。地形や過去の災害履歴もチェックしてみよう!
ハザードマップの見方(簡易説明)
- 「ハザードマップポータルサイト」から市区町村の地図確認
- 色分けで「土砂災害警戒区域」「浸水想定区域」などが表示される
- 自宅・学校・職場などを検索して確認


火山噴火|遠くても降灰の影響に注意!
日本は火山活動が活発です。地震大国なのも、火山活動と密接に関係があります。
日本のほぼ真ん中には富士山があります。富士山も「いつ噴火してもおかしくない」と言われており、実際に首都圏でも大きな影響が出ると想定されています。
火山噴火による被害例:
- 降灰、ガス、噴石
- 過去の災害例を添えると視野が広がる
- 物流の停止による影響
- 外に干した洗濯物が灰まみれになる
- 通勤電車が止まる
- 玄関前の灰の掃除が大変
富士山の例:
- 「静岡県富士山ハザードマップ」で検索できる
- 降灰量予測(○cmで電車停止、車が動かない等)
- 水の備蓄、エアコン・家電のフィルターへの対策も必要


※東京23区も10cm前後の降灰が予想されており、日常生活に大きな支障が出る可能性があります。
⛄️大雪・雪害|1年に1回でも油断は禁物
「関東だから雪は関係ない」と思っていませんか?でも、たった1回の大雪で交通は止まり、買い物にも行けず、日常が一変します。
冬に毎日大雪が降るということはありませんが、たまに降る雪に交通機関が混乱してしまいますよね。
転倒事故なども起こるので、1年に1回ぐらいだからと油断は禁物です。
大雪による被害例:
- 交通麻痺 … 電車やバスの運休、道路の通行止めが起きる
- 買物難民 … 食料品が手に入らず、スーパーの棚が空っぽに
- 雪下ろし中の事故 … 転落や転倒による怪我が多数報告されている
- 停電 … 積雪による倒木で電線が切れるなどのケースも
- 建物の倒壊 … 積雪荷重によって古いカーポートやベランダが崩れることも



子供の時は雪が降るとワクワクして、学校に行くまでに雪で遊んだな〜。



北国ほど雪が降らない地域では、1回の降雪でパニックだね。
情報はチェックして、慌てない行動をしようね。



でも、雪対策は何をすればいいのかなぁ。



雪の場合も特別な備えはないけれど、次のように準備してみてはどうかな?
備えとしての行動は早めに準備しておこう!
- 長靴・雪かき道具(スコップよりも頑丈なシャベルが安心)
- 食料や日用品の事前確保(数日分は常備を)
- 外出時の注意:革靴は危険、滑り止めつきの靴推奨
- ベランダ・屋上チェック:積雪による水漏れや重みに注意
直近3年(2022~2024)の主な自然災害と“学び”



実際に災害が起こるとニュースで真剣に見てるんだけど。
過ぎ去ってしまうと、忘れてしまうのも現実なんだよね。



実際に被害に遭っていなければ、他人事になるのは仕方ないかも。
でも、こういう場合はとシミュレーションして備えるいい機会だよ。
では、実際にどのような自然災害が起こっているのでしょうか。
「うちは大丈夫」と思いがちですが、今起きている災害を知ることで備えの優先順位も見えてきます。
記憶に新しいものは次のようになります。
※ここで紹介している災害は、気象庁のデータを参考にまとめたものです。
年月 | 災害名 | 被害概要 | 備えの視点(例) |
---|---|---|---|
2022年3月 | 福島県沖地震 | M7.4、最大震度6強、停電・断水 | 停電・断水への備えを見直す |
2022年9月 | 台風14号 | 九州上陸、死者5名、住宅被害約3,500棟 | 風水害時の避難判断と備蓄の確認 |
2022年12月 | 豪雪 | 除雪中事故などで死者12名 | 降雪地域ではスコップや備蓄が必須 |
2023年5月 | 能登地方地震 | M6.5、震度6強、建物被害 | 家具固定など耐震対策の大切さを再確認 |
2023年7月 | 梅雨前線豪雨(福岡) | 福岡県中心に浸水・土砂災害 | ハザードマップと避難経路の確認 |
2024年7月 | 梅雨前線豪雨(秋田) | 秋田・岩手で河川氾濫、住宅被害 | 浸水想定地域での高所保管や防水対策 |
ニュースの向こうに「わが家」を想像してみよう
災害は「遠くの出来事」として過ぎてしまいがちですが、実際には私たちの生活にもいつ起こるかわからない現実です。表で紹介したような災害は、どれも数年前の出来事です。
「自分だったら」「この地域だったら」と置き換えて考えることで、より実践的な備えにつながります。



どの災害も“明日は我が身”と考えることで、備えの優先順位が見えてくるよ!
近年の傾向|災害は頻発・激甚化
想定外、100年に1度の、などと大げさではないのかなと思うような表現が使われることも多い自然災害のニュースが続いています。異常気象も多く、確かに想定外の災害が増えているのは間違いないようです。
まさか、そんなことになるなんて。
そうなる前に、基本の備えをしておきましょう。
気候変動による災害の激甚化:線状降水帯、ゲリラ豪雨の増加
道路冠水や地下浸水(内水氾濫)の増加:地下街や低地のリスク
地震リスクの高まり:南海トラフ地震の確率など
避難情報は現在5段階に分けて明示されています。2021年の制度改正により、「避難勧告」は廃止され、「避難指示」に一本化されました。
この場合の避難指示では、在宅避難ではなく自宅を離れて避難するので注意してください。こんな時は持ち出し避難となるので、避難リュックが必要です。
警戒レベル | 内容 | 住民の行動 |
---|---|---|
レベル1 | 早期注意情報 | 最新情報に注意し始める |
レベル2 | 洪水・大雨注意報 | 避難方法の確認、避難準備の開始 |
レベル3 | 高齢者等避難 | 高齢者や子どもは避難を開始 |
レベル4 | 避難指示 | 全員が避難 |
レベル5 | 緊急安全確保(既に危険) | 命を守る行動(避難できない場合も) |
参考「避難情報に関するガイドライン」
まとめ|「想定外」を減らすことが、本当の備え― 自分ごととしてとらえるところから始めよう
災害の知識は、家族を守るための第一歩です。
在宅避難を前提にするなら、「知っておくべき災害」は思った以上に多くあります。
すべてを完璧に備えることは難しくても、
“知らなかった”を減らすだけで、命を守る可能性がぐっと高まります。
できるところから、少しずつ。
わが家らしい備えを一緒に始めていきましょう。
わが家らしい備えを、日々の暮らしの中から始めていきましょう。
🔗基本の防災に関する記事はこちら|今から始める“ふだんの防災”|ムリなく備える暮らしの見直し術



「まさかうちが…」を減らすには、自分のこととして考えるのがいちばん!
考えて備えることが、想定外を想定内に変えてくれるんだよ。