災害が起きたとき、「水だけはなんとかなるだろう」と思っていませんか?
実は、マンションでの水の備蓄には、戸建てとは違う注意点がいくつもあります。
私自身、「給水車も来るし、数日分あれば大丈夫かな」と思っていました。
でも実際に断水や停電を経験すると、備えの甘さに気づかされました。
特にマンションは、
- エレベーター停止=水の運搬が過酷
- 排水できない=トイレや洗い物が困難
- スペースがない=大量の水をどこに置く?
というように、想像以上に備蓄が難しい住環境です。
この記事では、マンション住まい向けに分かりやすく解説します。
・必要な水の量とその理由
・備蓄の現実的な置き場所
・家族の命を守る“分散保管”の工夫
飲料水はどのくらい備えれば安心?

「飲み水って、どのくらい備えておけば安心なの?」
というのは、災害時の備えでよくある悩みです。
特にマンションでは、「とりあえず買っておこう」ではなく、
具体的な計算をもとに備えることが大切です。
ここでは、国や自治体の推奨データと実際の家庭での備蓄量をもとに、
必要な飲用水の量をわかりやすく解説していきます。
飲用水:1人1日3L × 7日分が目安
災害時の飲用水は、「1人1日3リットル×7日分=21リットル」が最低ラインとされています。
これは、直接飲む水だけでなく、調理や食事の水分も含めた目安です。
「そんなに飲まないでしょ?」と思うかもしれませんが、
実際には飲むだけで1〜2L、湯煎調理やインスタント味噌汁などでさらに数百mlが必要になります。
また、家族全員分を備える場合は、人数分×日数分の水が必要になります。
5人家族で105L!実際に備えるとどれくらい?
「1人21リットル」と聞いてもピンとこない方も多いですが、
家族全員分を備えるとなると、かなりの量になります。
たとえば5人家族の場合は、
3L × 7日 × 5人 = 105L。
この105Lを実際に備えるとなると、2Lのペットボトルで約53本分です。
箱買いする場合、2L×6本入りの段ボールが9箱必要になります。
それをどこに置くか?が大きな課題になります。
しかも、いざという時にスムーズに取り出せる場所でなければ意味がありません。
さらに注意したいのは、ペットボトルは意外と重いという点です。
1箱あたり約12kg前後あるので、一度に動かすのはかなり大変。
「なんとかまとめておこう」と思わず、分散して保管する工夫が必要です。
衛生面から考えて500mlのペットボトルを混ぜて用意すると、
飲みきりやすく、持ち運びもしやすいためおすすめです。

そんなに水を飲まないと思ってたけど、食事とかにも使われてるんだね!



そうだよ。直接飲むだけじゃないから、意外と必要量が多いんだ。
✅5人家族で105Lを備える場合の目安
- 必要量:105L(=21L×5人)
- 2Lペットボトル:約53本(6本入り段ボール×9箱)
- 500mlペットボトル:約210本
- 1畳程度のスペースを想定して保管場所を検討する
- 重さを考慮し、部屋ごとの分散保管が理想的
このように、家族が多いほど備蓄の「量」と「場所」の課題が現実的に見えてきます。
見た目だけでなく「動かせるか」「使えるか」を意識した準備が、防災ではとても重要です。
生活用水も忘れずに!排水できない時の工夫
飲用水に気を取られがちですが、災害時に本当に困るのは「生活用水」かもしれません。
手洗い・歯磨き・洗い物・トイレなど、日常生活のあらゆる場面で水を使っていますよね。
特にマンションでは、停電と同時に給水・排水ポンプが止まるため、「水を流せない」状態になる可能性が高いです。
つまり、ただ水がないだけでなく、使った水が流せない=衛生面でもリスクがあるということ。
この記事では生活用水の具体的な代替アイデアについては深掘りしませんが、
備えとして最低限知っておきたい工夫を簡単にまとめておきます。
✅最低限知っておきたい生活用水の代替アイデア
- 手洗い → アルコールスプレーやウェットティッシュ
- 顔・体 → 汗拭きシート、ドライシャンプー
- 歯磨き → デンタルリンス、歯磨きシート
- 食器洗い → ラップを敷いて使い捨て、紙皿や紙コップ
- トイレ → 非常用トイレ・ポータブルトイレ(詳細は別記事へ)
水の保管場所は?おすすめは「分散ストック」


飲用水や生活用水の備蓄量がわかっても、実際に「どこに置くのか?」は現実的な悩みですよね。
特にマンションは収納スペースが限られており、備蓄水の“置き場所問題”は大きなハードルになります。
1か所にまとめて保管すると、災害時にその場所へアクセスできなければ使えません。
また、箱ごと動かすのも重くて大変なので、できるだけ分散して保管するのが現実的で安心な方法です。
具体的には、生活導線や家族の行動パターンを想像しながら、各部屋に少しずつ分けて置いておくと便利です。
「どこにいても最低限の水が使える」という状況を作ることが、防災対策として非常に効果的です。
✅おすすめの分散保管場所(例)
- 各部屋に1箱ずつ(寝室・子ども部屋など閉じ込め対策にも有効)
- キッチンに2箱(災害時はすぐに調理・飲用に使える)
- リビングに2箱(ソファの裏や家具の脇など隙間を探して収納)
- シューズインクローゼットに5箱(保管しやすい)
- 脱衣所や防災グッズと一緒に1〜2箱
分散することで、物理的な保管負担が減り、非常時の取り出しやすさも格段にアップします。
狭い空間でも「少しずつ分けて置く」がマンション防災のコツです。
関連記事:水の期限切れは飲めるのか?!も記事にしています。



箱のまま保管しなくても、バラして隙間に入れてしまうのもありだよ!
実体験で実感!断水と階段生活で感じた「水の重み」


実際に我が家が断水を経験したとき、備えていた水が本当に役に立ちました。
そのときは幸い、地域の支援もスムーズで、数日間を不自由なく乗り切ることができました。
でも、そこで感じたのが「水を持ち運ぶ大変さ」です。
エレベーターが止まり、階段を使って水を運ばざるを得ない状況では、
2Lペットボトル1本が驚くほど重く感じました。
特に上層階に住んでいる場合、階段の往復は想像以上の体力を使います。
また、停電中は共用部の照明も落ちていたため、暗がりの中での移動は危険を伴いました。
「水があるだけじゃだめだ、運べて、使える状態じゃないと意味がない」と痛感した瞬間でした。
それ以来、我が家では「持ち運びしやすいサイズ」を多めに備えるようになりました。
また、各フロアや部屋に分けて置いておくことが、本当に有効だと実感しています。
この経験からわかったのは、備蓄は“持ち出せる形での備蓄”じゃないと意味がないということ。
水の重みと向き合ったリアルな体験は、防災の考え方を大きく変えてくれました。



階段で水運びって、本当に大変そうだね…



暗い中の階段だとライトも必要だし、体力も必要。水の備えって本当に命綱になるんだよ。
「水がない!」を防ぐために、今できること
災害時、「水が足りない!」と焦るのは、実は水を備えていない人だけではありません。
備えていたつもりでも、「足りなかった」「取り出せなかった」「使えなかった」となるケースも少なくないんです。
だからこそ大切なのは、今この日常のうちに“使える状態の備蓄”をしておくこと。
とはいえ、いきなり100L単位で揃えるのは難しいもの。
でも、今日からできる小さな備えはたくさんあります。
✅いますぐ始められる備え3つ
- ネットスーパーで買い物ついでに水を1箱プラスしてみる
- 自宅のスペースを見渡して「水が置けそうな場所」を3か所探してみる
- 災害用グッズの隣に、500mlペットボトルを2〜3本入れておく
こうした一歩一歩の積み重ねが、いざという時に家族と自分を守る力になります。



ちゃんと準備しておけば、すごく安心だね!



未来の自分や家族のために、今からコツコツ始めていこう!
まとめ:マンション防災で押さえるべき水対策のポイント


今回の記事では、マンションに住む人にとって重要な「水の備蓄」について、
実体験を交えながらお伝えしてきました。
この記事の要点まとめ
- 飲用水は「1人1日3L × 7日分」が目安(最低21L)
- 家族全体では100Lを超える場合も。量の確認と計算が大切
- 備蓄した水は“分散して”保管するのが現実的
- 停電・断水時の水の運搬は想像以上に大変
- 「持っている」だけでなく「使える」備蓄を意識しよう
水の備えは、防災の中でも特に実行しやすく、でも忘れやすい分野です。
「気づいた今」こそがベストなタイミング。
ぜひ今日から、できることから始めてみてくださいね。
水の備蓄についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
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